昔ながらの里山風景に心癒される樒原
嵯峨鳥居本から車で約30分のところにある、宕陰(とういん)地区。愛宕山の西部、標高450mの高地に、樒原(しきみがはら)と越畑(こしはた)の2つの集落が広がります。茅葺きの民家や「にほんの里100選」に選ばれた棚田など、昔ながらの風景が今も残っています。樒原の象徴ともいえる棚田は、麓から見ると武士の鎧に見えることから「鎧田」と呼ばれています。
樒原の中心部、右京区役所 宕陰出張所のそばにある「樒原特産物加工部」は1998年、きらめく農村女性活動推進事業の一環として設立されました。以来、地元住民の手によって、からかわ昆布、京の花街みょうが漬け三種、かきもち、梅干し、ゆべしといった郷土食を製造販売しています。
看板商品は、からかわ昆布とみょうが漬け
からかわ昆布とは、山椒の木の皮を入れた昆布の佃煮。樒原で古くから食べられてきた保存食で、山椒の実が入った佃煮より辛味が強く、ピリッとした刺激が口の中に広がります。木の皮を採取し、食べられるようにするまでが大変で、手がかかるそうです。
みょうが漬け3種(甘酢漬け、みそ漬け、佃煮)は、「京の花街みょうが」という品種が使われています。一般的なみょうがに比べて一回り大きく、上品な香りや歯切れがよいのが特長。紅色が濃く、甘酢漬けは鮮やかなピンク色で見た目もきれい。浅漬けのような味わいで、さっぱりと食べられます。
からかわ昆布やみょうが漬けは、愛宕山や棚田など、樒原の風景が描かれたパッケージに詰められ、イベントで販売されます。イベントでは、とれたての野菜やお米が売られることもあるので要チェックです。
みんなで助け合い、よろこんでもらえる商品づくりを
加工部で働くのは、樒原に住む女性たち。仕込みから袋詰め、イベントでの販売も皆で協力して行っています。「住民同士横のつながりがあり助け合えるのが、樒原のいいところ。家の中までわかるぐらい互いのことを知っているので、加工部でも和気あいあいと働いています」「マルシェで『さっき買ったけどおいしかったからまた買いに来たわ』とリピートしてくれる人がいてうれしかったわぁ〜」など、エピソードを添えて語ってくださいました。
これからの目標をお聞きすると「あまり知名度が高くないので、もっと知ってもらいたいです」と返ってきました。右京区役所で開催される「つながるマルシェ」に定期的に出店しているので、ぜひ樒原の味に触れてみてください。
樒原特産物加工部
住所:京都市右京区嵯峨樒原宮ノ上町 ※加工部での販売はなし
販売:右京区役所で毎月第2・第4金曜日に開催している「つながるマルシェ」で販売。