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【ミライインタビュ】~第1回 佐野史恵さん~

9月も終わりに近づいたある日、嵐電龍安寺駅で降りると少し涼しい風が吹いていた。商店街から辻子を進むと、住宅街の中に温かみを感じる木の壁が見えてくる。HOMEである。

 

カフェの経営を夢見ていた店主の佐野さんが修行を積み、満を持して2015年に開店。

聞くと、この場所を選んだきっかけがいかにも可愛らしい。学生時代に佐野さんはここで”次郎丸”と出会う。その後転居することになるが次郎丸のことがいつまでも気がかりで…カフェを開くなら、次郎丸もいるここで、というわけだ。

 

そんな佐野さんから、右京区にまつわる色々なお話をお聴きした。

 

ところで、”次郎丸”はネコ。

親も子どもも満足できる空間に

HOMEの店内を見渡すと、テーブルの角が丸いことに気づく。

「子どもを連れて食事にいったとき、テーブルのとがった角が気になったことがあるんです。」

これは、佐野さん自身がお子さんを持つ母親であるからこその発想だ。

そのほかにも、座敷があったり、子どもが遊べるおもちゃや絵本を並べたり、おむつ替えスペースを用意したりと、親子がくつろげる空間づくりを心掛けているそう。

 

「ただ、子どもを意識するあまり可愛いだけのメニューにならないように、大人にも満足してもらえるメニューを用意しています。」

親も子どももお腹も満足できるところが、佐野さんのこだわりである。

変わるべきこと、守るべきこと

「大きな災害が多くて本当に怖い。子どもが巻き込まれる悲惨な事件や事故も大きく報じられていて…みんな疑心暗鬼になっているような。」

これが、佐野さんの目下の心配ごと。

子どもの頃に空き地で遊んだ経験があるけれど、今では難しい。公園も禁止事項だらけ。

「事なかれ主義」が行き過ぎて窮屈な世の中になっているのでは、と佐野さんは首をかしげる。

「要は、人間同士の信頼関係が薄れてきているってことかもしれませんね。」

 

それでも、と佐野さんは続ける。

「右京区は「ほどよくおせっかいなまち」になってほしい。近所の子どもたちや一人暮らしのお年寄りにちょっとした声掛けが普通にできるまちって、すごく暮らしやすいと思う。右京区って、そういうの多いほうかな。」

 

そして、「暮らし」というキーワードで次のように語ってくれた。

「暮らしがもっと便利になることはまちにとって大事です。でも、それだけでなくて、そこで暮らす人にとって大切なことは残すというバランスが大事です。」

暮らしを豊かにする経験がある

佐野さんには小さな夢がある。

「それぞれのライフステージならではのアイデアがあるはず。昔ながらのものが得意なおばあちゃんが、例えば草履やお手玉をおもしろい素材で作ったり。そんなプロダクトがたくさんの人の手に渡れば、きっと楽しい暮らしになるはず。」

人の知恵、経験、働き方のブランド化。

HOMEでたくさんの人々を見守り続けている佐野さんの目からは、右京区に暮らすたくさんの女性が活躍する姿が見えているのだろう。

famプロジェクト

また、佐野さんは「famプロジェクト」の代表として、龍安寺駅前谷口の森公園で「日々の市」というマルシェを主催している。

日頃から交流のあった仕事仲間と「何かしてみたいよね」と話していたら、たまたまお店に来ていたお客さんも「やろうやろう!」と乗り気で、そうこうしているうちに想いのある仲間が集まったそう。

佐野さんをはじめ、文具店の店主、音楽講師、刺し子作家、ボタニカルデザイナー、木版画摺師など、素敵なメンバーが右京区を盛り上げようと活動中だ。

ほどよくまちで、ほどよく自然があって

佐野さんに右京区の印象を聞いたとき、こんな言葉が返ってきた。

思えば、HOME経営者の佐野さんも、famプロジェクト代表の佐野さんも、ほどよく肩の力が抜けている。

この「ほどよく」が佐野さんの、そして右京区の、一番の魅力なのかもしれない。

 

=終わり=

 


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