令和3年2月21日。
右京かがやきミライ会議は新たなフェーズに移りました。
これから4月までは,各回,特別企画をお届けしたいと思います。
今回は,その名も「右京流 人生会議」。
そもそも「人生会議」って聞いたことありますか?
厚生労働省のホームページによりますと…
「もしものときのために,あなたが望む医療ケアについて前もって考え,家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い,共有する取組」とのこと。
これって結構,深刻な話しのように聞こえませんか?
だけど,それを明るく前向きに語り合うのがミライ会議,つまり右京流なのです。
この右京流人生会議,参加者のSさんの発案で今回のテーマとなりました。
それではSさん!どうぞ!
まずは「人生の時計」を使ってアイスブレイク。
自分の年齢を,午前0時から始まる24時間に換算すると何時頃まで経過しているか計測するもの。ネットで検索すればどなたでも使えます。
みなさん,自分の時間を確認してザワザワ…びっくりした方もおられたようです。
右京流人生会議について,Sさんは続けます。
「自分らしく生きるとはどういうことか。改めて考える機会はなかなかないけど,しっかり立ち止まって整理することが大事。自分の望む終末期を考えるからこそ,いま自分が何をすべきか見えてくる。自分は何を大切に生きているのか,どんなことに喜びを感じるのか,どんなことをされたらいやなのかとか,大切な方への情報提供が必要。エンディングノートは事前の指示にあたるが,人生会議は何度も話し合って変わっていってもいい。必ずしも終末期だけでなく,どのように自分らしく生きるかの整理にもフォーカスすればいい。」
人生会議という言葉を初めて聞く方も大勢いたと思いますが,様々な感想がありました。
「人はいつどうなるか分からないということを頭に置いておけば,いま自分は何をすべきか,何をしたいかを真剣に考えられるようになって,人生が輝くのではないかとポジティブになった。」
「自分は,家族・友人・地域を大切にしている。家族の健康が一番の喜び。信頼してきた仲間に「もうあなたは信頼できない」などと言われて,友人や知人をなくすのが一番いやなこと。」
「19歳だが色々と考えさせられた。これから先どう生きていくのか,真剣に考えるところもあった。この先どうなろうと,自分の生きたいようにボチボチやっていきたい。人生の時計はまだ夜明け前!」
「数年間に父親が癌になったが,それまで父親と面と向かって話したことがなかった。そのとき,父親が普段どう思っているのか,何がしたいのか聞いてみた。退院した後は身近なことから深いことまで話すようになった。」
「人生80年。自分は42歳でちょうど半分。人生の時計ではお昼ごはん。しっかり食べてがんばりましょう,なのか,一度立ち止まりましょう,なのかどっちだろう。介護の問題などを家族で話したことはあるが,他の人の話を聴くことで色んなインプットをしたい。」
「70歳だが人生を考えたことがない。父親とはしっかり話さないうちに死んでしまったし,母親も自分の弱みを見せずに亡くなった。いつまで今の暮らしを続けていけるかが大事。終わりがきたときに周りに迷惑を掛けない方法はないものか,考える機会を与えていただいた。」
「母は私が小学生の頃から「もし私が死んだら」という話をよくしていた。こういう話は元気なうちに,と言って,死んだら私は〇〇おばさんの家にいくとか,かなり具体的だった。だから,死ぬことがあまり怖くないと思っていた。楽しいことをしていきたいので,余命が知りたい。あれとあれをしようって割り振れるので。」
「人生について考えたことはほとんどない。どういうふうに生きていくかとか考えたことがなく,ある意味失敗だったと思う。人生の時計はそろそろゆっくりしてもよい時間なのだが,ゆっくりするつもりはなく一生懸命生きていきたい。」
「父は私が16歳のときに亡くなって,根拠はないが自分もそれぐらいで死ぬのではと思っていた。今はおまけで生きていると思いながら,娘が大人になるまではがんばらないと,と思って日々を過ごしている。母を含めて私がいなくなれば困るひともいる。」
「割と人生を考えて生きているほうで,10年スパンでテーマをつくっている。30代は子育てとボランティア,40代は仕事,というふうに。もうすぐ60歳で,そろそろ友達との会話で「死」が話題になるが,毎日に楽しいことを見つけて生きているので,先のことばかり考えてはいない。」
「大学4年生で就職活動を終えたところ。面接対策で自己分析をたくさんしたが自分のことを全然分かっていないと思った。今日は考える機会をもらえてうれしい。」
「人生を長期スパンで考えたことがない。大学生になって思ったのは,考えられるのはせいぜい1・2年後のこと。それでも経験次第でどんどん変わっていくので,今できることを誠実にやっていきたい。」
「私は56歳。自身も妻も両親が健在だが,80歳前後で入退院を繰り返している。親から連絡がくるがスルーしてしまうときがあるので,よくないな,と思っている。」
「癌を患い,5年生存率は低いと言われて怖がりながら生きてきたが,去年でひと区切り。人生もうけた気分で「できることはなんでもしよう」と積極的に生きていられるのが嬉しい。家族では私が最初に死ぬだろうから,明るく「死んだらこれしてね」と話せるのも楽。」
「人生の時計は19時だったが,まだまだ飲みに行けるやん,2次会も3次会も行けるやん,と思いたい。」
「最後のときに何をしてほしいか,家族でもストレートに聞きにくい。父親が亡くなったときに実感した。だから自分から伝えないと,そのためには自分には何が大事か,何にこだわっていて何はそうでないのか,整理整頓しなければならない。」
続いて,Iさんから整理収納アドバイザーと発達障害のお話。
「子どもの不登校に悩んでいるお母さんがいました。あるとき,友人の言葉でハッと気づきました。「あなたは子どもに学校に行ってほしいのか,それとも幸せになってほしいのか。」今までは,他人が,先生が,ご近所がどう思うか,と,自分以外を主語に考えてきたことに気付いたのです。整理収納もそうで,「主婦なのにこれぐらいのこともできないのか」と他人に思われることを気にするのではなく,自分が気持ちよくなるためにすることが大切。」
自分を物事を考えるときの軸にする。これって,人生会議の趣旨にも合致することですよね。
また,Sさんからはこんなアドバイスをいただいていました。
「情報弱者になると,やりたいことをするための方法や,嫌なことを避けるための方法みつけにくくなる。情報を取りに行く意欲とアンテナを張っておくことが大切。」
この言葉を引き継ぐように,Fさんから,歩くことが健康につながること,自宅以外の高齢者向けの住まいや,認知症サポーターのことなど,具体的な情報を教えていただきました。
こうして1時間30分,3者3様の興味深いお話をお聴きできました。
深刻に“なりすぎない”,すばらしい人生会議になりましたよ!