みんなで買い物に行く楽しみ~山間地における高齢者の買い物・外出支援~

右京区の山間部に位置する宕陰地域。高齢者の買い物・外出支援が行われていると聞き、同行してきました。

宕陰地域は、にほんの里100選・つなぐ棚田遺産にも認定された美しい棚田の風景が広がる地域です。人口は200人弱、そのうち65%の方が65歳以上と超高齢化の状態で、高齢者の暮らしをどうやって支えるかが課題となっています。
そこで、生活アンケート調査をもとに学区社協などの関係施設・機関で話し合った結果、希望する住民を亀岡のスーパーまで送迎する買い物・外出支援の取り組みが平成30年の7月に始まったそうです。

取材の日、参加された住民の方は6人。隔月開催のほぼ毎回利用する常連さんたちです。
協力していただいている地域の社会福祉法人清和園愛宕ゆうこうの郷の送迎車に乗り込み、わいわいおしゃべりしながらスーパーに向かいます。最近の畑仕事の話や近所の話などで盛り上がり、車内はさながら遠足のよう。
スーパーにつくと、それぞれ必要なものを書いたメモを手にしながら、あれこれ商品を選びます。
ホームセンターや100均コーナーなどもあり、必要なものはほとんどそろいます。

「普段は宅配があったり、同居の家族が買い物をしてくれるのでそれほど不自由は感じないけれど、足りないものを自分で選べるのはうれしい。」との声も。買い物しながらもおしゃべりは続き、本当に楽しそうです。
買い物が終わったら、次は喫茶店。毎回お店を変えて、ひと休みしながらまたおしゃべり。「この時間が楽しいんや」との声に皆さんうなずいています。

道中は愛宕ゆうこうの郷の職員が付き添い、安全面のサポートもバッチリ。雑談の輪にも参加され、この取組は住民に信頼されている施設の協力が欠かせないようです。
実施主体である学区社協の田中会長は「家にいるより、少しでも出てほしいので、そのきっかけになれば」と取組の意義を語ります。自らドライバーも務め、住民の笑顔を糧に続けているそうです。
地域の人同士のおしゃべりが進む「みんなの居場所」が、買い物・外出支援をきっかけに生まれているように感じました。

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この記事を書いた人

まちアド佐藤

住民参加による公園づくりをきっかけにまちづくりの世界に。2006年から京都市のまちづくりアドバイザーとして活動。住民が自分のまちを良くするために動く気持ちを応援します。
プライベートでは北区山間地の田んぼで黒米づくり・芋づくり、アフロパーカッションバンド、小学校での読み語りの会などなど。