テンテントコトコ、テンテントコトコトコ・・・
夜の西院小学校の部屋に軽快な太鼓のリズムが響き渡ります。笛や鉦(かね)に合わせて4つ並んだ太鼓をバチでたたき、打ち手が次々に交代していきます。
小学生から高齢者までが集うこの会は、西院六斎念仏保存会のみなさん。16名の会員で西院に伝わる六斎念仏を受け継いでいます。
取材の日にまず目にした4つの太鼓、これは「四ツ太鼓」という演目で、六斎念仏でまず練習するものだそうです。一人でたたくだけでなく、二人で向かい合ってたたくなど複雑なたたき方もあり、次第にテンポが上がり華麗なバチさばきが見ものです。
次に練習した演目は獅子舞。獅子と蜘蛛とのダイナミックな立ち廻りがあり、蜘蛛がパッと糸を吐く様子に目を奪われます。
会長の山口さんによると、西院六斎の歴史は400年ほど前まで遡ることができるそうです。山口さんは隣の家が「講元」と呼ばれる会長の家だったことから、幼い頃から六斎の唄やリズムに親しみ、将来は六斎を演じるつもりでいたとのこと。ところが大人になる頃には会員が減り活動が休止してしまい、平成に入ったあたりでようやく復活がかなって活動ができるようになったそうです。現在は、ユネスコ無形文化遺産「風流踊(ふりゅうおどり)」として他地区の六斎とともに京都の六斎念仏として登録されています。
演目は全部で12あるそうですが、会員の高齢化やコロナによる休止などの影響で再び会員数が減ってしまい、今は9つの演目しかできていないとのこと。それでも新規加入の会員も現れ、熱心に練習を行っています。令和6年1月には京都市内で活動する「こども六斎」クラブの発表会が西院小学校で開催されるとのことで、西院六斎念仏保存会もその練習に熱が入ります。
一番新しい会員の木村さんにお話を伺いました。木村さんは西院にお住まいではないのですが、以前から六斎を見るのが好きで、いろいろな地区の六斎を見て回っていたそうです。たまたま西院の六斎に知り合いが入っていて、今年の8月に練習の見学に誘われ、そのまま加入したそうです。「六斎を見るのが好きでしたが、まさか自分がやるとは思ってもみませんでした。人生で初めてバチを持ち、実際にやってみると奥深さがわかりました。伝統を守る難しさを実感しています。」とのこと。でも練習は楽しいとのことで、こうやって伝統の新しい担い手が現れるのを頼もしく思いました。
見学、参加などぜひお越しくださいとのことです。
練習は毎月第2土曜日と最終日曜日の午後7時~9時、場所は西院小学校の地域生涯学習文化ホール。
お気軽に代表の山口さんまでお問い合わせください。
<連絡先>
090-1133-2317(代表 山口)
sairokusai@gmail.com