シニアの居場所「まなあそカフェ」は子どものひみつ基地を間借りして開催!?

毎月サンサ右京1階のMACHIKOで開催している「にこにこカフェ」でコーヒーを淹れている「気ままおやじ会右京」のみなさん。

まちなかに出張してカフェ活動を月1回実施しているとのことで、お邪魔してきました。

まなあそカフェ外観、ガラス戸とテーブル
▲まなあそカフェ外観

西大路通りから少し路地を入った西院の住宅街。
改装された古民家のガラス扉から木製のおしゃれなカウンターが覗いています。

こちらが「まなあそカフェ」。

実は普段は学習塾のスペースなんです。月に1回、第2水曜日の13時から15時にカフェに早変わり。
訪れた時間は、すでに何人か常連さんとおぼしきお客さんがスタッフと楽しげに会話しています。

まなあそカフェ店内
▲まなあそカフェ店内

気ままおやじ会右京の山下さんによると、近所の住人である山下さんが、学習塾の建物の一角に木製のテーブルのあるおしゃれなスペースができたのを見つけ、「ここでカフェの活動ができるかも」とひらめいたのがきっかけです。
学習塾の経営者に相談したところオーケーをもらい、昨年8月から月1回のペースで活動しているそうです。

西院の繁華街から少し離れた立地のため住宅街であり、近所にはお年寄りが多く、このカフェを楽しみに来てくれる人が多いとのことです。

気になるのはなぜ学習塾におしゃれなカフェスペースがあるのか?ということ。
学習塾を運営している「合同会社なんかしたい」の清水代表にお話を伺いました。

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代表の清水さん(右)、スタッフの村木さん(左)
▲「合同会社なんかしたい」代表の清水さん(右)、スタッフの村木さん(左)

Q このおしゃれなスペースは何をする場所ですか?

清水代表(以下S)ここは学習塾や学童保育に通う生徒の保護者の方々が、待合やコワーキングのために使う場所です。

Q それにしてもまるでカフェかバーのような雰囲気ですね。

S 私たちは学習塾「まなびのさき」と学童保育「あそびのば」を運営しているのですが、子どもの成長や学習環境を整えるためには保護者の方とお話をするのも大事です。その際、保護者の方の悩みをコーヒーやお酒を飲みながら聞くような場面もあったらいいのではと、思い切ってカウンターのある空間を作ってしまいました。

Q 「まな」びのさき、「あそ」びのば、で「まなあそ」なんですね。手作りなんですか?

S まなあそカフェはプロの方にお任せしましたが、他の長屋はプロの手も借りながら自分たちで改修しました。この長屋の角にある古民家を借りて学習塾を始めたのが最初の1軒だったんです。そこから教室を増やし学童保育も始めるために路地の他の家も借りて今では7軒を活用させてもらっています。

こちらの家から活動が始まりました
▲こちらの家から活動が始まりました

Q 同じ路地の家を借りることができたのはラッキーですね?

S 理解のある素敵な大家さんに巡り合うことができて幸運でした。家の裏側同士がつながって抜け道のようになっているんですよ。1軒は「ひみつきち」と呼ぶ勉強禁止のスペースで、子どもたちが自由にリラックスして過ごせる場所も用意しています。

Q それはずいぶん魅力的な場所ですね。

S せっかく塾に来てくれてもイヤイヤだったり本人の気持ちが向いていなかったりすると成績は伸びません。ささいなことでも相談できるような関係を心がけています。一緒に楽しんで一緒に悩む。そんな塾でありたいですね。

Q 保護者に寄り添った塾であるのは、子どもに寄り添った塾だからこそなんですね。今後やりたいことはありますか?

S 今はテスト期間中に具だくさんカレーを提供する取り組みを試験的に行っています。今後はもう少し拡大して、100円で栄養のある食事がとれるような取り組みができないかと考えています。

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インタビューからにじみ出てくるのは、子どもの気持ちを最優先に考える姿勢。学童保育も一人一人の子どもの話をよく聞いてくれるという評判が話題になり、40人の定員がいっぱいだそうです。

清水さんの案内で塾や学童で使っているスペースや先生の部屋、そして「ひみつきち」も見せていただきました。ひとつひとつの家は大きくないですが、それぞれ工夫して改修されています。路地の長屋全体が学びとあそびの空間になっていて、ワクワク感が伝わってきます。

ひみつきちにはロフトもあります!
▲ひみつきちにはロフトもあります!

さて、そんな話をしているうちに、気づいたら閉店の15時。
終了後はスタッフミーティングが始まります。

会の代表の小泉さんは「今日はお客さんが多かった。活動を宣伝したときに、紙のチラシを渡すだけでなく、声をかけてお誘いしたのがよかったのかな。口コミが一番やね。ここを居場所と感じてくれる人がだんだん増えてきたかな。」といいます。

スタッフミーティング 今後の活動のことも含めて熱心に議論中
▲スタッフミーティング 今後の活動のことも含めて熱心に議論中

もう一人のメンバー丸山さんは「お客さんが多いわりにはコーヒーの提供がうまくまわって待たせることがなくてよかった。長屋の住民の方が常連さんになってくれてうれしい。」とのこと。
他に、この会の活動に興味があって見学に来られた方もおられ「高齢者の居場所として魅力的な場所ですね。」と話していました。

スタッフが帰るころには、学童保育の子どもたちが公園遊びから戻ってきて、子どもたちの時間が始まりました。高齢者の場所から子どもの場所へ。子どもも高齢者も集う場所になっているこの空間は、不思議でワクワクする場所でした。

 

「まなあそカフェ」>>>次回開催は、5月8日(水)13時~15時

●気ままおやじ会右京

●合同会社なんかしたい

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この記事を書いた人

まちアド佐藤

住民参加による公園づくりをきっかけにまちづくりの世界に。2006年から京都市のまちづくりアドバイザーとして活動。住民が自分のまちを良くするために動く気持ちを応援します。
プライベートでは北区山間地の田んぼで黒米づくり・芋づくり、アフロパーカッションバンド、小学校での読み語りの会などなど。